2017年8月8日火曜日

パーニニを勉強する際には、

必ずアシュターディヤーイー・スートラパータ(अष्टाध्यायीसूत्रपाठः)
手元に置いて見比べながら勉強してくださいね

インドでも世界中の大学院でもそうですが、
努力してもパーニニの脳みそをゲット出来ていない人々に共通することは、
スートラパータ無しに勉強しているということです。

スートラパータ片手に、新しいスートラが出て来る度に、
✔(チェック)を入れていってください。


 

2017年8月4日金曜日

アヌスヴァーラの発音

शिक्षासूत्र を文面通りに理解すると、अनुस्वार は純粋な鼻音ですが、
अनुस्वार になった後、अनुस्वारस्य ययि परसवर्णः। が来ますから、
結局は、次の音の鼻音となり、次の音のスターナが混じります。
つまり、後ろに क् が来ると、कण्ठ と नासिका から発音されることになります。

यय् 以外の音(ह् श् ष् स्)が次に来た場合、叉、सवर्ण の無い音(रेफ)の場合は、
理論的に言うと、अनुस्वार という純粋な鼻音になる訳ですが、
そこは、各々のヴェーダの伝統で、ग् とかग्ँ みたいな音になりますね。

2017年7月31日月曜日

アヌスヴァーラとMの音の違い


シクシャー・スートラに、नासिका अनुस्वारस्य とあるように、
अनुस्वार の स्थान は नासिका であることから、
スートラ मुखनासिकावचनोऽनुनासिकः の定義によって、
अनुस्वार は、अनुनासिक に分類されます。

म् の音の स्थान は、नासिका と ओष्ठौ の両方が含まれているのに対して、
अनुस्वार の स्थान は、नासिका のみです。
 
 

気になった言葉を調べてみました。

サンスクリット語学習者におなじみの、
SHABDA MANJARI by R.S. Vadhyar & Sons
そこで紹介されていた、あまり見かけない言葉、「तस्थिवस् 」。
言葉の生成がどうなってるのか気になったので調べてみました。 


Page 57 Paradigm 89 सकारान्तः नपुंसकलिङ्गः तस्थिवस् शब्दः (That which has stood)
तस्थिवत्            तस्थुवी               तस्थिवांसि

    This paradigm is not introduced in LSK. Thus it drew my attention. I could tell it was ष्ठा-धातु in लिट् with क्वसुँ-आदेश, but for the declension in 1/2, which involves भ, I needed to consult सिद्धान्तकौमुदी for हलन्तपुंलिङ्ग सेदिवस्-शब्द.


こちらにずらりと書いた計算式のようなものは、
約2500年前に作られたパーニニ・スートラという
サンスクリット語を基にしたメタ言語(人工言語)で、
サンスクリット語の文法体系を表しています。
現代のプログラム言語の元祖と言われているように、
サンスクリット語の言葉を生成する仕組みを指示や定義の形で表しています。
Derivation of the प्रातिपदिक तस्थिवस्
स्था + लिट्                     3.2.115 परोक्षे लिट् । ~ भूते धातोः प्रत्ययः परश्च
स्था + क्वसुँ                     3.2.107 क्वसुश्च । ~ लिटः
स्था + इट् वस्                 7.2.35 आर्धधातुकस्येड् वलादेः ।
स्था स्था + इवस्              6.1.8 लिटि धातोरनभ्यासस्य । ~ प्रथमस्य एकाचः द्वे
स्थ स्था + इवस्               7.4.59 ह्रस्वः । ~ अभ्यासस्य
थ स्था + इवस्                 7.4.60 शर्पूर्वाः खयः । ~ अभ्यासस्य
त स्था + इवस्                 8.2.54 अभ्यासे चर्च । ~ झलाम्
त स्थ् + इवस्                  6.4.68 आतो लोप इटि च । ~ अचु क्ङिति आर्धधातुके
तस्थिवस्

Declension of प्रातिपदिक तस्थिवस् in neuter
तस्थिवस् + सुँ 1/1             4.1.2 स्वौजस्....। ~ ङ्याप्प्रातिपदिकात् प्रत्ययः परश्च
तस्थिवस्                        7.1.23 स्वमोर्नपुंसकात् । ~ लुक्
तस्थिवद्                        8.2.72 वसुस्रंसुध्वंस्वनडुहां दः ।
तस्थिवत्                         8.4.56 वावसाने । ~ चर् झलाम्

तस्थिवस् + औ 1/2           4.1.2 स्वौजस्....। ~ ङ्याप्प्रातिपदिकात् प्रत्ययः परश्च
तस्थिवस् + शी                7.1.19 नपुंसकाच्च । ~ औङः शी
भसंज्ञा for तस्थिवस्         1.4.18 यचि भम् । ~ स्वादिषु असर्वनामस्थाने
तस्थि उ अ स् + ई            6.4.131 वसोः संप्रसारणम् ।
तस्थि उ स् + ई                6.1.108 संप्रसारणाच्च । ~ पूर्वरूपम् अचि संहितायाम्
त स्थ् उ स् + ई                इट्-आगम should not have come when संप्रसारण is to happen.
    (SK) अन्तरङ्गेऽपि इडातमः संप्रसारणविषये न प्रवर्तते, (प. 57) अकृतव्यूहाः पाणिनीयाः। इति परिभाषया
त स्थ् उ ष् + ई                8.3.59 आदेशप्रत्यययोः। ~ सः मूर्धन्यः
तस्थुषी

तस्थिवस् + जस् 1/1          4.1.2 स्वौजस्....। ~ ङ्याप्प्रातिपदिकात् प्रत्ययः परश्च
तस्थिवस् + शि                7.1.20 जस्शसोः शिः । नपुंसकात्
सर्वनामस्थानसंज्ञा for शि  1.1.42 शि सर्वनामस्थानम् ।
तस्थिव नुम् स् + इ            7.1.72 नपुंसकस्य झलचः । ~ सर्वनामस्थाने नुम्
तस्थिवा न् स् + इ             6.4.10 सान्त महतः संयोगस्य । ~ न उपधायाः दीर्घः
तस्थिवांस् + इ                 8.3.24 नश्चापदान्तस्य झलि । ~ मः अनुस्वारः
तस्थिवांसि                      8.3.59 आदेशप्रत्यययोः। ~ सः मूर्धन्यः

2017年7月20日木曜日

パラスマイパダ(परस्मैपदम्)とアートマネーパダ(आत्मनेपदम्)の日本語訳と、その違いは?

パラスマイパダ(परस्मैपदम्)とアートマネーパダ(आत्मनेपदम्)は、
18ある動詞の活用語尾(接尾語)を2種類に分ける為の、
単なる名前として、それぞれ、PとA、でふたつ覚えてください。

受動態で使われるのはAのみですが、
能動態では、PもAも、両方使われます。


PとAそれぞれの接尾語に、意味の違いはありません。
どちらとも、人称と数、そしてलट् 等のलकार から引き継いだ情報(時制と態)を持っています。
上記に示した場合に使い分けられるだけで、

それぞれが違う意味を持っているのではありません。

直訳すると、परस्मै(他の為)、आत्मने(自分の為)となりますが、
これは、धातु のタイプがUの場合、
行為の結果が他に向けられている場合はP、
自己にのみ向けられている場合はAを使う、
というところから来ています。


しかし、常にその通りではないので、PとAという、名前で覚えておけばよいです。


パーニニで使われる用語は、実際のものとはあまり関係ない名前がよくあるので、
どの名前が関係しているのか、していないのか、ということも知っておく必要があります。


こちらにも、いろいろ書いています。
http://sanskrit-vocabulary.blogspot.in/2017/07/blog-post_19.html

2017年7月13日木曜日

धातुकोशः の最終ページで、分かり易いものの例:

例えば、
धातु に付いているअनुनासिकの母音が、アヌダーッタ(下線のついている母音)の場合、
そのधातुは、能動態の時にはआत्मनेपदをとります。
ダートゥの説明についている、Aというやつですね。

धातु に付いているअनुनासिकの母音が、スヴァリタ(上に縦棒のついている母音)の場合、
そのधातुは、能動態の時にはआत्मनेपद、परस्मैपदの両方をとります。
ダートゥの説明についている、Uというやつですね。

それ以外の場合は、そう、ダートゥはPとなります。

ダートゥにどうして、アヌナーシカの母音が付いているの?

धातुकोशः でのअनुनासिक

धातु の前後に、अनुनासिकの母音を付加することにより、
そのधातुが、どのように扱われるかを表すことが出来ます。
つまり、धातुにくっついているअनुनासिकの母音は、
धातुの取説のような働きをしています。

取説の取説!は、धातुकोशः の最終ページにまとめてあります。

アヌナーシカと、アヌスヴァーラの違い

अनुनासिक と अनुस्वार の違い

これはよくある質問です。


サンスクリットを長年勉強していても、疑問のままとなっている人は、
インド人でさえも非常に多く、疑問とさえ気づいていない人も多いので、
見直してみてください。



अनुनासिक は鼻音、鼻に掛かった音。ある音の形容詞ですね。

अनुस्वार は、それ自体がひとつの音です。ṃと表記される、半拍分の長さの音です。



अँ = 鼻に掛かったअの音。ひとつの音。1拍。

अं = 鼻に掛かってない अ というひとつの音の次に、अनुस्वार (ṃ)という別の音が来ている、ふたつの音の表記。1拍+0.5拍。

アヌナーシカ(अनुनासिक)の定義:


1.1.8 मुकनासिकावचनोऽनुनासिकः।
口と共に、鼻によって発音される音が、अनुनासिक です。

つまり、अनुनासिक とは鼻音のこと。
ञ् म् ङ् ण् न्, अँ आँ इँ etc. です。

2017年1月7日土曜日

लघुसिद्धान्तकौमुदी に関する2つの間違った認識

パーニニ・スートラを教える時のメソッドとして、

私はलघुसिद्धान्तकौमुदी を愛用しているのですが、

インドでスートラを勉強している人の殆どは、

कौमुदी に関して、多大な誤解&混乱をしているので、

「Medhaさんは、कौमुदी を教えられているので、अष्टाध्यायी は教えられていなんですね。」

という、無知と混乱も甚だしい、愚の骨頂とも言える質問をいただくことが、

しょっちゅうあります。

何十年もサンスクリット勉強してきてこんなこと言ってくる人達って痛いなぁ、と感じながらも、

同時に、あと10年後には、このような質問を聞かなくて済むように、

正しい知識を持った次世代をどんどん輩出していこう、とやる気も増してきます。


しかし、このような質問をしてくる人は、自分の方が正しいと信じているので、

こちらの説明を聞くオープンな心を持っていないから、説明しても無駄なので、

せめても、こちらに書いておきます。

何が起きているかというと、

そもそもの間違い


कौमुदी を、अष्टाध्यायीを使わずに教える勉強方法がまかり通っている。

これが、そもそもの問題の始まり。

とにかく、लघुसिद्धान्तकौमुदीを丸暗記して、ヴリッティのみを頼みにしてスートラを理解している。

だから、अष्टाध्यायीからअनुवृत्तिを引いて来る等の使い方を知らない。

これは、完全なभ्रम です。でも、それがメジャーになっているのが、そもそもの問題。

ラッキーなことに、私が初期の頃から学んだ先生の殆どは、

以下に示した、きちんとしたकौमुदीの勉強の仕方で教えてくれました。

正しいलघुसिद्धान्तकौमुदी の勉強方法


अष्टाध्यायीは必携。लघुसिद्धान्तकौमुदीの順番に沿って各スートラを勉強する際に、

अष्टाध्यायीを参照して、अनुवृत्तिを引っ張ってきて、परिभाषाを応用しながら、

自分でヴリッティを作文出来るように訓練する。

ある程度のスートラをカヴァーしたら、अष्टाध्यायीのトピックの単位で、

スートラの順番どおりに復習して、अष्टाध्यायीの構造の理解を深める。

その詳しいステップは、 著書にまとめております。

特に、各種のपरिभाषाを分類してまとめる作業は必須。

そのような作業は、「おのれの頭で考えたら分かるやろ!」と思われているので、

लघुसिद्धान्तकौमुदीでは、いちいち扱われていません。

私の著書の中では、そういうのを、いちいちまとめてあります。


動詞のアンガとプラッティヤヤの変化を別々にやってくれない、とか、

लकारを、4つと6つに分けてくれてない、とか、

そういうレベルの低いケチをつける人達には、

「Figure that out by yourself!(そんなことぐらい、自分で分かれよ!)」という姿勢なのです。

そういう初心者レベルの勉強方法は、初心者がするべきことです。

初心者には、アンガとプラッティヤヤを別々に変化して用意する、

という方法で教えて、きちんと読めるようになるまで教えてから、

スートラの勉強をするものですから、何を今更!って感じです。




プレーヤーに、पाणिनीयप्रवेशाय とあるように、

लघुसिद्धान्तकौमुदीは、अष्टाध्यायीを勉強するためにデザインされた、

勉強方法=メソッド です。

名詞は性別に、最後の音のアルファベット順で、

動詞はガナ順、धातुपाठに出て来る順、लकारのアルファベット順で、

計算しつくされた例が、物語のように展開されています。

だから、構造を知っていれば、名詞・動詞の活用リファレンス本にもなる。

逆に、काशिकाは、スートラの辞書であって、勉強方法は教えません。

例えると、काशिकाが辞書で、कौमुदीはレッスンごとに分けられている教科書になります。

言語を学ぶ際に、辞書は不可欠ですが、辞書から言語は学べないでしょう?

辞書も教科書も、どちらも必要。

学ぶときには、教科書に沿って、レッスンごとに進みながら、

教科書で与えられている例を見て学ぶ。


よく、「あなた、कौमुदी とकाशिका、どっちで教えるの?」と聞かれますが、

その質問がいかに愚問であるか、お分かりいただけたでしょうか。

कौमुदी を知らない人々は、काशिकाを使って学ぶのだけど、

कौमुदीのように、文法家達によって踏み固められた、安全な道を歩まず、

自分達で思いつくままの順番で、思いつくままの例を使って教えるので、

当然、地雷を踏みまくる。だから、3年勉強しても、なかなか前に進めない。

1年もしたらもう、लघुसिद्धान्तकौमुदीで勉強したチームの方が、

スートラの数も、理解の深さも、काशिका組を抜いてしまっています。

なのに、काशिकाを勉強している人は、कौमुदीで勉強している人を、

すんごい上から目線で見下してくるのね。

なぜかというと、彼らは、

「कौमुदीで勉強している人は、अष्टाध्यायीの使い方すら知らないのよ~」

という片手落ちな状況の理解しかしていないから。


結局何が言いたかったのかというと、

正しい方法で勉強されたकौमुदी が最強!ということ。

しかし、それを知っている人は、まだまだマイノリティー。

出来るだけ多くの人に、正しいकौमुदीの勉強方法を教えて、

10年後には、この認識がメジャーになっていられるよう、

多くの有能な生徒に教えたいです。。。



あと、たまに聞かされるナンセンスは、

私が初心者にAntoineを使って教えていない、と言うと、

「え~、じゃあ、いきなりスートラから教えているの?」と聞かれたことが何度か。。。

この世の中にある初心者のテキストって、Antoine以外にもいろいろあります。

ちなみに、各国の方々が色々な読み方をされていますが、

フランス語読みで「アントワン」が一番近いカタカナです。

Antoineで勉強すると、スートラが頭にちゃんと入らないので、

もっとシステマティックな初心者用の教科書を自分で作った次第です。

そして、

「あなた、サンスクリット教えているのね。じゃあ、ヴェーダーンタは勉強していないのね。」

これもたまに言われます。その「じゃあ」のロジックって何?

両立出来ないって決めつけているのは、それを言っている人の力量を基準としてるのかな?

変なコンプレックスの表れなのかな、と思って受け流しています。