第四課 1.1.71 आदिरन्त्येन सहेता [ādirantyena sahetā]

1.1.71 आदिरन्त्येन सहेता [ādirantyena sahetā] । ~ स्वं रूपम्

このスートラは、プラッティヤハーラ・スートラとも呼ばれ、プラッティヤハーラ(略語)を定義するスートラです。

何種類もあるプラッティヤハーラを定義するので、動的なスートラです。

したがって、普通の定義のスートラよりは、理解が少し難しいかもしれません。

まずは、ゆっくり見てみましょう。


A.  スートラの種類:संज्ञासूत्रम् [saṃjñāsūtram]

B. スートラに含まれる言葉:आदिः [ādiḥ] 1/1, अन्त्येन [antyēna] 3/1 सह [saha] 0 इता [itā] 3/1

C. 前のスートラから引っ張ってくる言葉:स्वम् [svam] 1/1, रूपम् [rūpam] 1/1

D. スートラ全体の意味:
最後にある(अन्त्येन [antyēna] 3/1) イットと(इता [itā] 3/1)共にある(सह [saha] 0)最初の(音)は(आदिः [ādiḥ] 1/1)、それ自体の音(स्वम् [svam] 1/1, रूपम् [rūpam] 1/1)と、イットまでの中間にある音全てを表している。

E. スートラの応用:

अण्(आदिः [ādiḥ] 1/1)
ण् = 最後にある(अन्त्येन [antyēna] 3/1) イット(इता [itā] 3/1)
と共にある(सह [saha] 0)
= 最初の音は、
それ自体の音(स्वम् [svam] 1/1, रूपम् [rūpam] 1/1)()と、その中間の音(इ, उ
を表している。
すなわち、अण्」というプラッティヤハーラ(略語)は、「इ, उ」を表す為の、略語である。
ということが、このスートラによって定義されるのです。


もう少し、このスートラを詳しく見てみましょう。

A.  スートラの種類:संज्ञासूत्रम् [saṃjñāsūtram]

संज्ञासूत्रम् [saṃjñāsūtram] (名前を定義するスートラ)は、
संज्ञा [saṃjñā](名前)と、
संज्ञी [saṃjñī] (名前が指しているもの)を定義するものです。

このスートラで定義されているसंज्ञा [saṃjñā](名前)は、
अन्त्येन इता सहितः आदिः (最後のイットに伴われた、最初の音)です。
例:ण्イットマーヘーシュワラ・スートラで丸で囲われている音)に伴われた最初の音、は、अण्ですね。
つまり、संज्ञा [saṃjñā](名前)はअण्

このスートラで定義されているसंज्ञी [saṃjñī] (名前が指しているもの)は、
最初の音()と、最初の音からイットまでの間にある音(इ, उ)です。
つまり、संज्ञी [saṃjñī] (名前が指しているもの)はइ, उ

同じように、
संज्ञा [saṃjñā](名前)が「अच्」なら、
संज्ञी [saṃjñī] (名前が指しているもの)は「अ, इ, उ, ऋ, ऌ, ए, ओ, ऐ, औ」、

संज्ञा [saṃjñā](名前)が「चर्」なら、
संज्ञी [saṃjñī] (名前が指しているもの)は「च्, ट्, त्, क्, प्, श्, ष्, स्」です。

このように、いろんな組み合わせのプラッティヤハーラが、このスートラ1.1.71 आदिरन्त्येन सहेता [ādirantyena sahetā]  によって、生成されるのです。


いかがでしょうか。。。


お気づきかも知れませんが、संज्ञी [saṃjñī] (名前が指しているもの)には、イットは含まれていません。なぜでしょうか。
答えは、イットが消されてしまうからです。イットを消すスートラを、次回に勉強します。



2 件のコメント:

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  2. 詳細かつ丁寧なご説明 ありがとうございます。
    このスートラを理解するには、「それ自体の音」を前のスートラから引っ張ってくる事はは分かりました。しかし、「。。。と、イットまでの中間にある音全てを表している」という訳はどこから出てくるのでしょうか。お教え頂ければ幸いです。

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