2017年7月13日木曜日

ダートゥにどうして、アヌナーシカの母音が付いているの?

धातुकोशः でのअनुनासिक

धातु の前後に、अनुनासिकの母音を付加することにより、
そのधातुが、どのように扱われるかを表すことが出来ます。
つまり、धातुにくっついているअनुनासिकの母音は、
धातुの取説のような働きをしています。

取説の取説!は、धातुकोशः の最終ページにまとめてあります。

アヌナーシカと、アヌスヴァーラの違い

अनुनासिक と अनुस्वार の違い

これはよくある質問です。


サンスクリットを長年勉強していても、疑問のままとなっている人は、
インド人でさえも非常に多く、疑問とさえ気づいていない人も多いので、
見直してみてください。



अनुनासिक は鼻音、鼻に掛かった音。ある音の形容詞ですね。

अनुस्वार は、それ自体がひとつの音です。ṃと表記される、半拍分の長さの音です。



अँ = 鼻に掛かったअの音。ひとつの音。1拍。

अं = 鼻に掛かってない अ というひとつの音の次に、अनुस्वार (ṃ)という別の音が来ている、ふたつの音の表記。1拍+0.5拍。

アヌナーシカ(अनुनासिक)の定義:


1.1.8 मुकनासिकावचनोऽनुनासिकः।
口と共に、鼻によって発音される音が、अनुनासिक です。

つまり、अनुनासिक とは鼻音のこと。
ञ् म् ङ् ण् न्, अँ आँ इँ etc. です。

2017年1月7日土曜日

लघुसिद्धान्तकौमुदी に関する2つの間違った認識

パーニニ・スートラを教える時のメソッドとして、

私はलघुसिद्धान्तकौमुदी を愛用しているのですが、

インドでスートラを勉強している人の殆どは、

कौमुदी に関して、多大な誤解&混乱をしているので、

「Medhaさんは、कौमुदी を教えられているので、अष्टाध्यायी は教えられていなんですね。」

という、無知と混乱も甚だしい、愚の骨頂とも言える質問をいただくことが、

しょっちゅうあります。

何十年もサンスクリット勉強してきてこんなこと言ってくる人達って痛いなぁ、と感じながらも、

同時に、あと10年後には、このような質問を聞かなくて済むように、

正しい知識を持った次世代をどんどん輩出していこう、とやる気も増してきます。


しかし、このような質問をしてくる人は、自分の方が正しいと信じているので、

こちらの説明を聞くオープンな心を持っていないから、説明しても無駄なので、

せめても、こちらに書いておきます。

何が起きているかというと、

そもそもの間違い


कौमुदी を、अष्टाध्यायीを使わずに教える勉強方法がまかり通っている。

これが、そもそもの問題の始まり。

とにかく、लघुसिद्धान्तकौमुदीを丸暗記して、ヴリッティのみを頼みにしてスートラを理解している。

だから、अष्टाध्यायीからअनुवृत्तिを引いて来る等の使い方を知らない。

これは、完全なभ्रम です。でも、それがメジャーになっているのが、そもそもの問題。

ラッキーなことに、私が初期の頃から学んだ先生の殆どは、

以下に示した、きちんとしたकौमुदीの勉強の仕方で教えてくれました。

正しいलघुसिद्धान्तकौमुदी の勉強方法


अष्टाध्यायीは必携。लघुसिद्धान्तकौमुदीの順番に沿って各スートラを勉強する際に、

अष्टाध्यायीを参照して、अनुवृत्तिを引っ張ってきて、परिभाषाを応用しながら、

自分でヴリッティを作文出来るように訓練する。

ある程度のスートラをカヴァーしたら、अष्टाध्यायीのトピックの単位で、

スートラの順番どおりに復習して、अष्टाध्यायीの構造の理解を深める。

その詳しいステップは、 著書にまとめております。

特に、各種のपरिभाषाを分類してまとめる作業は必須。

そのような作業は、「おのれの頭で考えたら分かるやろ!」と思われているので、

लघुसिद्धान्तकौमुदीでは、いちいち扱われていません。

私の著書の中では、そういうのを、いちいちまとめてあります。


動詞のアンガとプラッティヤヤの変化を別々にやってくれない、とか、

लकारを、4つと6つに分けてくれてない、とか、

そういうレベルの低いケチをつける人達には、

「Figure that out by yourself!(そんなことぐらい、自分で分かれよ!)」という姿勢なのです。

そういう初心者レベルの勉強方法は、初心者がするべきことです。

初心者には、アンガとプラッティヤヤを別々に変化して用意する、

という方法で教えて、きちんと読めるようになるまで教えてから、

スートラの勉強をするものですから、何を今更!って感じです。




プレーヤーに、पाणिनीयप्रवेशाय とあるように、

लघुसिद्धान्तकौमुदीは、अष्टाध्यायीを勉強するためにデザインされた、

勉強方法=メソッド です。

名詞は性別に、最後の音のアルファベット順で、

動詞はガナ順、धातुपाठに出て来る順、लकारのアルファベット順で、

計算しつくされた例が、物語のように展開されています。

だから、構造を知っていれば、名詞・動詞の活用リファレンス本にもなる。

逆に、काशिकाは、スートラの辞書であって、勉強方法は教えません。

例えると、काशिकाが辞書で、कौमुदीはレッスンごとに分けられている教科書になります。

言語を学ぶ際に、辞書は不可欠ですが、辞書から言語は学べないでしょう?

辞書も教科書も、どちらも必要。

学ぶときには、教科書に沿って、レッスンごとに進みながら、

教科書で与えられている例を見て学ぶ。


よく、「あなた、कौमुदी とकाशिका、どっちで教えるの?」と聞かれますが、

その質問がいかに愚問であるか、お分かりいただけたでしょうか。

कौमुदी を知らない人々は、काशिकाを使って学ぶのだけど、

कौमुदीのように、文法家達によって踏み固められた、安全な道を歩まず、

自分達で思いつくままの順番で、思いつくままの例を使って教えるので、

当然、地雷を踏みまくる。だから、3年勉強しても、なかなか前に進めない。

1年もしたらもう、लघुसिद्धान्तकौमुदीで勉強したチームの方が、

スートラの数も、理解の深さも、काशिका組を抜いてしまっています。

なのに、काशिकाを勉強している人は、कौमुदीで勉強している人を、

すんごい上から目線で見下してくるのね。

なぜかというと、彼らは、

「कौमुदीで勉強している人は、अष्टाध्यायीの使い方すら知らないのよ~」

という片手落ちな状況の理解しかしていないから。


結局何が言いたかったのかというと、

正しい方法で勉強されたकौमुदी が最強!ということ。

しかし、それを知っている人は、まだまだマイノリティー。

出来るだけ多くの人に、正しいकौमुदीの勉強方法を教えて、

10年後には、この認識がメジャーになっていられるよう、

多くの有能な生徒に教えたいです。。。



あと、たまに聞かされるナンセンスは、

私が初心者にAntoineを使って教えていない、と言うと、

「え~、じゃあ、いきなりスートラから教えているの?」と聞かれたことが何度か。。。

この世の中にある初心者のテキストって、Antoine以外にもいろいろあります。

ちなみに、各国の方々が色々な読み方をされていますが、

フランス語読みで「アントワン」が一番近いカタカナです。

Antoineで勉強すると、スートラが頭にちゃんと入らないので、

もっとシステマティックな初心者用の教科書を自分で作った次第です。

そして、

「あなた、サンスクリット教えているのね。じゃあ、ヴェーダーンタは勉強していないのね。」

これもたまに言われます。その「じゃあ」のロジックって何?

両立出来ないって決めつけているのは、それを言っている人の力量を基準としてるのかな?

変なコンプレックスの表れなのかな、と思って受け流しています。

2016年10月30日日曜日

パーニニの教科書を続々発刊しています!

2016年のディーパーヴァリに合わせて、
パーニニの教科書を、第3部まで発表しました。

http://arshaavinash.in/index.php/books-on-sanskrit-grammar/

今月に米国で発刊した、初等サンスクリット(といっても、全部やれば、ギーターをかなり深く理解できます。)の教科書も、ここから無料でダウンロードできます。

紙の印刷が欲しい方は、アマゾンから購入できます。
こちらに一覧と説明があるのでどうぞ。
Medha Michika の著書一覧

賢者パーニニの恩恵により、より多くの人のマインドに、知性の光の恵みがありますように。

2016年2月4日木曜日

パーニニの教科書が出来ました!

 ओं श्रीगुरुभ्यो नमः ।

本日は立春、グルの日(木曜日)、エーカーダシー、と吉兆な日が重なり、
新しい本のリリースに良い日頃になりました。

伝統的なサンスクリット語文法を教える教科書の歴史に、
革命を起こしています。


以下のリンクから無料でダウンロード出来ます。
http://arshaavinash.in/index.php/download/study-guide-to-laghu-siddhantakaumudi-part-1/


8年前、サンスクリット語の勉強を始めた頃、
どの教科書も不親切なプレゼンで分かりづらく、腹立たしく思い、
「私がきっちり勉強して、もっとわかりやすい教科書を書いてやる!」
と誓ったものでした。

「サンスクリット語は難しい」と思われているのは、
サンスクリット語が難しいからではなく、
教科書を書いている学者が、
学習者に理解してもらいたいという、誠実な願いからではなく、
自分達がどれだけアカデミックなんだじょ!というのを認めてもらうが為に、
わざと混乱させるように書いているに違いない、
と今でも私は思っています。

サンスクリット語は難しくありません。
きっちり理解した人が、わかってもらいたい、というハートを持って、
システマッティクにプレゼンすれば、
これほど理に適って腑に落ちる言語はないと思います。

私が、もっとわかりやすい教科書を書いてやる!

というようなことを、8年ほど前にインターネット上で宣言した際、

従来の旧式教科書を大絶賛する(その世界ではよく知られた)人から
 「西洋人が残した従来の教科書の訳で充分じゃないですか。
従来の教科書の良さがわからないのですか?」
というようなコメントを頂いたりしたものでした。

19世紀に西洋人の学者によって、上から目線で書かれた教科書は、
出来るだけ避けるべきだと思っています。
特にヴェーダをプラマーナとして見る必要がある学生には。

現在教えている3年のコースの生徒たちは、
今まででは在り得ない程のスピードと正確さで文法を学習してくれています。
もちろん、リラックス・モードで。人と比べたり、批判したり、絶対しない。
アントワンなどの教科書は、3年目に、
「こういう勉強の仕方を今までの人々はしていたのよ」
という形で、その非効率性を指摘しながら紹介するつもりです。

Om

2015年6月27日土曜日

グナ(गुणः [guṇaḥ])

1章1節第2スートラ

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[संज्ञासूत्रम्] 1.1.2 अदेङ् गुणः ।
अत् 1/1 एङ् 1/1 गुणः 1/1
The short अ and एङ् (ए  and ओ) are called गुणः.

スートラの意味: 短い「ア」、「エー」、「オー」の3つの音を、グナと定義する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サンスクリット語文法学習者に根付いている、「グナ&ヴリッディ」の混乱


現代では、間違った教え方が主流になっているサンスクリット語文法。

大袈裟ではなく、私は改革を起こしているサンスクリット文法の教師です。

間違った教え方のせいで、基本の基本で混乱が起きているのを目の当たりにしてきました。


今回は、グナとヴリッディの混乱についてまとめます。


混乱1:音の変化を示す言葉、という混乱



ヴリッディの項でも説明しましたが、グナも、ヴリッディも

それぞれ3つの音を示す言葉であり、

音の変化を示す言葉ではありません。


よくある間違った説明:

第一段階の変化をグナ、 第二段階の変化をヴリッディ といいます。

これは間違った説明です。

NG「~の音が~の音に変化するのが、グナです。」

OK「~の音が、グナの音に変化すると、~になります。」


変化しなくても、「ア」は「ア」のままで、グナと呼ばれます。

「エー」も「オー」も然りです。何の変化がなくても、もとのままでグナです。


何度でも繰り返しますが、

言葉: グナ
言葉の意味: 短い「ア」、「エー」、「オー」の3つの音

この意味のプラマーナは、スートラ1,1,2です。何の交渉のしようもありません。




混乱2:「ar」と「al」もグナ、だという混乱



これは、パーニニを勉強した事の無い人の殆ど全ての人が持っている混乱です。

パーニニを勉強しても、それ以前のサムスカーラが強すぎて、

理解を変えられない人もいます。


よくある間違った説明:

ṛ/ṝ のグナは「ar」、 l̥ のグナは「al」。

グナの音は3つだけなのに!

正しくは、

「ṛ/ṝ 、 l̥ の音に対応するグナの音は「a」である。

グナとは全く別のルールで、その後ろにそれぞれr、lが付く。 」

です。

全く別のルールとは、

「ऋ/ऌ が अण् に変化するとき、रेफ ल् が後ろに来る(1.1.51 )」

です。



「初心者にいきなり教えても分からないから、最初のうちはこういう教え方でもいい」

という人もいますが、

どうせ、後にも先にも、矛盾や混乱をおこすだけなので、私は最初から全部を教えます。

そんなに難しいことではありません。

教える人の理解がクリアーであれば、聞く人が誰でも分かることです。

難しいどころか、頭を使うこと、理解することの楽しさや嬉しさを教えてくれるステップです。

そういうわけで、考えて理解する楽しみを知ってもらう、という感じで教えています。


グナという言葉が使われる場面



グナとは、「ア、エー、オー」の3つの音に付けられた名前です。

何故名前がつけられたかというと、もちろんその使い道・応用があるからです。

グナという言葉が使われる場面には大体2つあります。


1.サンディ(連音変化)が起きる場合

例:
連音変化のルールのひとつ、「アの後ろに母音が来たら、2つ一緒にグナになる(6.1.87)」
ウパ + インドラ = ウペーンドラ

2.接尾語が来たときの、基幹への変化

例:
「動詞の原型に付く接尾語は、基幹である動詞の原型の最後のइक्にグナを起こす(7.3.84)」
ニー + トゥル = ネートゥル




まとめ


グナとは、短い「ア」、長い「エー」、長い「オー」の3つの音に付けられた名前。

グナとは、変化のことを指すのではなく、3つの音そのものを指す言葉である。

「ar」や「al」はグナとは呼べない。

グナという言葉が使われる場面は、主にサンディによる変化とアンガの変化。



今までの固定概念を取り払って、理解に努めてください。

前回のヴリッディの説明も参考にしてください。